作家による作品のスタイルはそれぞれありますが、それによって個展のスタイルも様々です。
ここ数年、東京でかなり多くの個展を見ました。
そこで今感じるのは、作品スタイルの偏った人が多いってことです。
個展を見るとよくわかりますが、展示している作品が、まぁ言えば全部ほとんど同じ。見ていて結構退屈する。
この傾向は、売れっ子ほど強い。
その理由のひとつが多分「スタイルを固定することを画商が望む」ため、かなと思う。
売れっ子の作品は、お客さんが同じスタイルでの作品を望んでいて、そういう作品を描いてくれた方が画商も商売しやすい。
この人はこういう作風、と固定してしまう方が、全体的にやりやすいのかな、と思いました。
しかし僕は…(^_^;)
僕の個展のスタイルは「来場者に展覧会として楽しんでもらう」。
だから作品のスタイルを固定しません。
自分にとって王道のものから実験的なものまで、様々な作品を詰め込みます。
土井久幸という作家の作風は一つではないのです。
ただそうなると、画商としてはポイントが絞れず、ちょっと扱い辛くなるんですね。
最近、決まったスタイルの作品を描くよう求められることが増えて来ました。それは僕の作品に興味を持ってくれているわけで、ありがたい反面、窮屈さもあります。
いかに、その期待に充分応えつつオーダーを無視できるか(笑)
創作をやめ、繰り返しの作業になってしまったら、全てが止まってしまいます。僕の個性は繰り返しではないはず。
それを美術ファンや業者さんに納得させるため、ハイクオリティで幅広い作風を確立しなければならない。